第1冊(販売中)
中国最高傑作絵巻『清明上河図』(張擇瑞作)。『水滸伝』と同時代の「北宋王朝」の都「開封(汴京)」東南、東水門と虹橋、汴河沿い。虹橋にいままさにぶつかりそうな貨客船を絵巻の中心に据え、「謎」の事件が続々と起きる。売り買いの叫び声、従者付きの馬に乗って堂々と通りを進む人物、画家自身すら登場する。訴訟、取引立ち合い、工芸、武術、易の「五絶(五人の達人)」が主な探偵役で、難事件を解決していく。絵巻を見る人は、絵巻上の824人に名前をつけた作者の執念、才能に驚く。「命名なければ存在しない」という漢字世界でなければ生まれない歴史推理小説。
その第1冊は、訴訟裁きの名人である「訟絶」趙不尤とその家族は難しい事件を解決していく。都の汴京に周知された、同じ志を持つ「東水門八名士」と呼ばれた八人組の儒学者の間に間隙を生じたようだ。庶民のためなのか?私利を図るためなのか?何かほかのもののためなのか?謎の香り袋は意外に多くの秘密を引き出す。餅売り若者のつらさ、目の不自由な母親の苦しさ、講釈人の誰にも言えない恋、婦人の絶望、骨董屋の無力さ。
目 次
まえがき
主な登場人物一覧
導入 客船が消えた……
木の巻 ―― 東水門八名士事件
第一章 神仙・天書
第二章 二十五の死体
第三章 『酔東風』
第四章 東水門の八名士
第五章 下絵・身元確認
第六章 「義」は「剣」にある
第七章 閨房・絵画・田地
第八章 梅花が天に広がる
第九章 琴の心・書簡・速い風
第十章 一言半句を終生忘れない
第十一章 女媒酌役人・求婚申込書
第十二章 お見合い
第十三章 便箋・枯れ井戸・貨物船
第十四章 八名士論争する
第十五章 空き家・毒殺
火の巻 香り袋事件
第一章 香り袋·耳·餅売りの若者
第二章 すり替える
第三章 骨董屋
第四章 恋心
第五章 壁をすり抜ける妖術
第六章 壁抜けの謎・弟と妻の関係
第七章 待ち伏せ
第八章 酔死
第九章 戦場の恨み
第十章 『太平御覧』
第十一章 再失踪
第十二章 空(から)の船
第十三章 飯を食(く)う
第十四章 甘餅一つ
第十五章 逃げる
第十六章 殺す
付録:漢語の「発音体系」早わかり